夢を食いつづけた男@植木等・著元クレージーキャッツの植木等さんが、お父さんの植木徹誠(てつじょう)さんについて書かれた本を20年ほど前に出されました。

今から十何年前にクレージーキャッツのビデオ(『日本一無責任時代』のシリーズ)をたまたま見たころに、その作品から発せられるパワーを思い切り受けたときに読んだ本です。あの”植木等”のキャラクターの源はいったいどこに由来しているのか?気になり読んだことを思い出しました。

徹誠さんはとても型破りな人だったようです。

元々は貴金属職人の傍ら、義太夫(浄瑠璃)語りを目指していたそうですが、やがて大正デモクラシーの影響でキリスト強の洗礼を受け、社会主義者として労働運動に参加。その後、僧侶の娘と結婚し、浄土真宗の僧侶に。部落解放運動(全国水平社)にも尽力されたのだそうです。

そして世の中の戦争熱が高まっている頃、招集令状を持って壇家の人が、徹誠さんに挨拶にやって来た時「戦争というものは集団殺人だ。卑怯といわれても生き帰って来い。そして、なるべく相手も殺すな。」といって送り出したのだそうです。
こんな発言をしていたこともあり、治安維持法違反で何度も投獄されたのだそうです。

戦後、等さんは芸能界入り。義太夫語りを目指していたお父さんの志を継ぐことに。しかし、徹誠さんは音楽活動には反対だったそうですが、ヒットした『スーダラ節』の歌詞は絶賛したそうです。

『スーダラ節』の歌詞は親鸞(しんらん)の教えに通じるのだそうです。

以下、徹誠さんの言葉を著書より引用。
「わかっちゃいるけど、やめられない。ここのところが人間の弱さを言い当てている。親鸞の生き方を見てみろ。葷酒(くんしゅ)山門に入るを許さずとか、肉食妻帯を許さずとか、そういうことをいろいろな人が言ったけれど、親鸞は自分の考えを貫いた。おそらく親鸞はそんな生き方を選ぶたびに、わかっちゃいるけどやめられない、と思ったことだろう。うん、青島君(『スーダラ節』の作詞者・青島幸男氏)は、なかなかの詞を作った」

そんな生涯を植木さんは「支離滅裂」と呼びつつも、信念を曲げず、徹底的に闘ったお父さんに敬愛を込めて語られた(朝日新聞記者さんによる聞き書き)一冊でした。


追伸
なお、朝日新聞社(文庫)で出版された著書はネットで調べてみたら「絶版・または重版未定」となっていました。
残念です。

植木さんが亡くなられた追悼という意味でも重版して、多くのかたに読んでもらいたいです。


リンク:
お寺の和尚 「植木 徹誠」
植木等さん死去 80歳 「無責任男」で一時代@朝日新聞



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日本一のゴマすり男


(2010.8.7 16:52追記)
先日、朝日新聞出版が出した桂米朝さんの文庫本を買ったら、カバーにこの本が紹介されていたので、重版されたことがわかりました。

書名:夢をくいつづけた男 おやじ徹誠一代記
著者:植木等
出版社:朝日新聞出版(朝日文庫)
ISBN:9784022644022
定価:630円(税込)
発売日:2007年4月13日
A6判並製:272ページ

リンク:夢を食いつづけた男@朝日新聞出版

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