みのさんがさる1月11日、東京東銀座の銀座ブロッサム中央会館で開かれた「桂米團治独演会」を観賞され、そのレポートを送って下さいました。
この会の演目は以下の通り。
『煮売屋』桂米輝(よねき)
『子ほめ』桂米團治
『宗論』桂米紫(べいし)
『淀の鯉』(中川清・作)桂米團治
(仲入り)
『子は鎹(かすがい)』桂米團治
米團治さんはその会で、師匠で実父の桂米朝さんが入門前の21歳に創作した『淀の鯉』を、高座にかけるというのを聞いていたので、注目していました。
以下、レポートです。
===
久々の落語!ご報告が遅くなりましたが、1月11日の桂米團治師匠の落語会に行ってきました。場所は東銀座は中央会館ブロッサム。
昔、同じ中央会館で米朝師匠の「百年目」を伺ったっけなぁ…。
(ネタバレありますのでご注意を!)
やはり仕事がバタバタして遅刻してしまい、最初の桂米輝さん、次いで米團治師匠の一席目は聞けず残念…。丁度、桂米紫さんの「宗論」が始まったところで入場。
お客さんの入りは残念ながら満席とはいかす、八分位か…途中からワサワサ人をかきわけるのも何なので、後ろの空いた席で伺いました。
「宗論」は大好きなネタのひとつですし、上方と江戸の微妙な雰囲気の差も味わおうかとついつい夢中になってしまいました。西洋かぶれの息子の「おっ父さまぁ〜」は、いつどこでどなたから何度聞いても笑ってしまいますね(微笑)。
そして次が「中川清(=桂米朝)作」の「淀の鯉」…これがむっちゃ面白かった!斬新っ!こういうの大好き!(わーい)
「(お噺の原稿がお父さんの米朝師匠の)部屋を整理しておりましたら出て参りまして、いや、あの、何で整理していたのかとかそこは深くツッコまないで戴きたいのですけれども」
なぁ〜んて感じで米朝師匠ネタがマクラでして、何でも米朝師匠が二十歳位の時に書かれた作とか。「二十歳の時の作品ですから」などとお断り入れつつ始まる「淀の鯉」は…
最初はごくごくスタンダードなお噺だと思ったのです。大旦那様がたいこもちの一八さんに
「船が大の苦手な板前を船に乗せ淀の川の鯉を釣ったはしからさばかせたい」、
なんて無理難題を言いつける。昔はこんな座興を思い付くお大尽も居たのでしょうね。
で、過分のごほうびの約束に一八さん、あれやこれやと策をめぐらし、船は真っ平ごめんな板前さんをだまくらかして船へ…?どうでしょう。ごくオーソドックスだと思うではありませんか。しかし。
お噺も半ば過ぎ殆ど終盤と思われた頃、唐突に視点が変わります。
きっちり正面を向いた米團治師匠はお顔をぷっくりとふくらまし、黙って、両手をゆぅ〜ら、ゆぅ〜ら…と、身体の脇で前後に動かし始めたのです。
「こ…鯉かよ!」。米團治師匠、鯉になっちゃったよ!
あとは一転、鯉の親子の会話から鯉視点(笑)。恋に盲目な息子の方の鯉が、釣り上げられちゃった彼女の鯉子チャンを人間の包丁から救う恋愛大活劇!まな板の上の鯉子チャンの為なら命がけ、水面を出でて船に飛び込み奪還作戦!誠に恋の力は人でも鯉でも偉大なりアァ鯉が恋して恋人を(笑)
…いやもうシュールな事、予想外のクライマックスに自分は大喜び。何しろ世界でも稀な(だと思います(微笑))「恋の、違った鯉の活劇」の描写がダイナミックでお上手なのです。びたーん!とヒレを叩きつけて鯉子チャンを助ける鯉の息子のアクションシーンにわくわくしました。
いや…鯉の恋ゆえのアクションって…普通あんまし高座では演じませんよね?それはそれは斬新でありました。鯉の所作が実に巧みでありました。
中入り後は「子はかすがい」…こちらは忠実なしっかりした正調でありました。この落差も又、面白く伺いました。
「淀の鯉」のハジケっぷりと、かっきり正統派の「子はかすがい」、米紫さんの「宗論」もメリハリがあり…実に楽しく、アクセントの利いた良い落語会と感じました。
大名人の息子さん故に、米團治さんもなかなか難しい道を歩まれているとか傍目には憶測すれのですが、そんな困難なお立場を存外楽しんで励みに思っていらっしゃるのかもしれません。
「子はかすがい」を伺う限り、とてもしっかりとしたお覚悟で、普段は落語を聞かない方にも良く聞く方にも、どなたにも楽しめる落語の王道をつとめようとされていらっしゃるのではないかしらん?なぁんて勝手に思いました。
又お噺を伺うのが楽しみです。それにしても、会の最初から伺いたかったナァ…インフルエンザで倒れた仕事仲間の分の仕事もあったから仕方ないのですが。
みの@インフルエンザは落語の敵だぃ(苦笑)拝
===
以上です。
如何にもシュール。
実写化もマンガでも無理かな。落語ならでは描ける世界ですね(微笑)
レポートありがとうございました。
リンク:
・桂米團治(かつら・よねだんじ)公式サイト
・銀座ブロッサム中央会館
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『子ほめ』桂米團治
『宗論』桂米紫(べいし)
『淀の鯉』(中川清・作)桂米團治
(仲入り)
『子は鎹(かすがい)』桂米團治
米團治さんはその会で、師匠で実父の桂米朝さんが入門前の21歳に創作した『淀の鯉』を、高座にかけるというのを聞いていたので、注目していました。
以下、レポートです。
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久々の落語!ご報告が遅くなりましたが、1月11日の桂米團治師匠の落語会に行ってきました。場所は東銀座は中央会館ブロッサム。
昔、同じ中央会館で米朝師匠の「百年目」を伺ったっけなぁ…。
(ネタバレありますのでご注意を!)
やはり仕事がバタバタして遅刻してしまい、最初の桂米輝さん、次いで米團治師匠の一席目は聞けず残念…。丁度、桂米紫さんの「宗論」が始まったところで入場。
お客さんの入りは残念ながら満席とはいかす、八分位か…途中からワサワサ人をかきわけるのも何なので、後ろの空いた席で伺いました。
「宗論」は大好きなネタのひとつですし、上方と江戸の微妙な雰囲気の差も味わおうかとついつい夢中になってしまいました。西洋かぶれの息子の「おっ父さまぁ〜」は、いつどこでどなたから何度聞いても笑ってしまいますね(微笑)。
そして次が「中川清(=桂米朝)作」の「淀の鯉」…これがむっちゃ面白かった!斬新っ!こういうの大好き!(わーい)
「(お噺の原稿がお父さんの米朝師匠の)部屋を整理しておりましたら出て参りまして、いや、あの、何で整理していたのかとかそこは深くツッコまないで戴きたいのですけれども」
なぁ〜んて感じで米朝師匠ネタがマクラでして、何でも米朝師匠が二十歳位の時に書かれた作とか。「二十歳の時の作品ですから」などとお断り入れつつ始まる「淀の鯉」は…
最初はごくごくスタンダードなお噺だと思ったのです。大旦那様がたいこもちの一八さんに
「船が大の苦手な板前を船に乗せ淀の川の鯉を釣ったはしからさばかせたい」、
なんて無理難題を言いつける。昔はこんな座興を思い付くお大尽も居たのでしょうね。
で、過分のごほうびの約束に一八さん、あれやこれやと策をめぐらし、船は真っ平ごめんな板前さんをだまくらかして船へ…?どうでしょう。ごくオーソドックスだと思うではありませんか。しかし。
お噺も半ば過ぎ殆ど終盤と思われた頃、唐突に視点が変わります。
きっちり正面を向いた米團治師匠はお顔をぷっくりとふくらまし、黙って、両手をゆぅ〜ら、ゆぅ〜ら…と、身体の脇で前後に動かし始めたのです。
「こ…鯉かよ!」。米團治師匠、鯉になっちゃったよ!
あとは一転、鯉の親子の会話から鯉視点(笑)。恋に盲目な息子の方の鯉が、釣り上げられちゃった彼女の鯉子チャンを人間の包丁から救う恋愛大活劇!まな板の上の鯉子チャンの為なら命がけ、水面を出でて船に飛び込み奪還作戦!誠に恋の力は人でも鯉でも偉大なりアァ鯉が恋して恋人を(笑)
…いやもうシュールな事、予想外のクライマックスに自分は大喜び。何しろ世界でも稀な(だと思います(微笑))「恋の、違った鯉の活劇」の描写がダイナミックでお上手なのです。びたーん!とヒレを叩きつけて鯉子チャンを助ける鯉の息子のアクションシーンにわくわくしました。
いや…鯉の恋ゆえのアクションって…普通あんまし高座では演じませんよね?それはそれは斬新でありました。鯉の所作が実に巧みでありました。
中入り後は「子はかすがい」…こちらは忠実なしっかりした正調でありました。この落差も又、面白く伺いました。
「淀の鯉」のハジケっぷりと、かっきり正統派の「子はかすがい」、米紫さんの「宗論」もメリハリがあり…実に楽しく、アクセントの利いた良い落語会と感じました。
大名人の息子さん故に、米團治さんもなかなか難しい道を歩まれているとか傍目には憶測すれのですが、そんな困難なお立場を存外楽しんで励みに思っていらっしゃるのかもしれません。
「子はかすがい」を伺う限り、とてもしっかりとしたお覚悟で、普段は落語を聞かない方にも良く聞く方にも、どなたにも楽しめる落語の王道をつとめようとされていらっしゃるのではないかしらん?なぁんて勝手に思いました。
又お噺を伺うのが楽しみです。それにしても、会の最初から伺いたかったナァ…インフルエンザで倒れた仕事仲間の分の仕事もあったから仕方ないのですが。
みの@インフルエンザは落語の敵だぃ(苦笑)拝
===
以上です。
如何にもシュール。
実写化もマンガでも無理かな。落語ならでは描ける世界ですね(微笑)
レポートありがとうございました。
リンク:
・桂米團治(かつら・よねだんじ)公式サイト
・銀座ブロッサム中央会館
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人間国宝、20歳にして、そんなシュールな作品(擬古典)を手がけていたんですね。
国宝は、多くの作品を「掘り起こした」ことで有名ですが、ほぼ一から作り直した作品もある訳で。
落語を口演する才だけでなく、噺を創り上げる才も傑出しているということですね。
あと米團治さんに「華がある」といわれるのですが、それはお母様(米朝夫人)が、OSKの前身でダンサーをしていたのが影響しているのかと思います。